近年、体内の細菌バランスが崩れることで、さまざまな健康問題が生じることが知られるようになりました。
きちんと歯磨きをしているのに、虫歯や歯周病に悩んでいる方は口腔内の細菌バランスに問題がある可能性があります。虫歯や歯周病など、さまざまな疾患に対して体内の善玉菌を増やして対処するバクテリアセラピーが問題解決に期待できます。当記事では、バクテリアセラピーについて紹介します。口腔内トラブルや体調などにお悩みの方は、ぜひご一読ください。
バクテリアセラピーとは、細菌を使用して体内の善玉菌を増やすことで、病原菌を減らすサポートをする、スウェーデンを中心に臨床実用化が進行中の技術です。人体にはさまざまな細菌が共存しています。具体的には、ヒトに対して良い働きをする「善玉菌」や、病気の原因となる「悪玉菌」、普段はおとなしくしている「日和見菌」などです。
善玉菌を増やして病気の原因となる悪玉菌を抑制することで、さまざまな健康効果があると考えられています。
国内20,000の歯科医院のほか、世界でも90以上の国と地域の歯科医療機関で採用されています。また、ヒト由来の善玉菌を利用するため、安全性が高いという理由から、病原体が大きなリスクとなる新生児集中治療室で実施されることもあります。
日本では、歯科医院を中心に採用されているバクテリアセラピーですが、歯科領域以外にも、さまざまな健康効果が期待されています。
腸内細菌は、胃腸だけではなく免疫機能にも影響を及ぼすことが知られています。バクテリアセラピーは、腸内細菌のバランスを整えて善玉菌を増やすため、健康的なメリットがあります。
歯周病や虫歯は歯科の2大疾患といわれ、成人期に歯を失う原因の多くを占めています。虫歯や歯周病の発症には細菌が関わっており、日々の歯磨きによって予防することが重要です。
しかし、口腔内に虫歯や歯周病の原因菌が多い場合、きちんと歯磨きをしても虫歯や歯周病になってしまうことがあります。そのため、口腔内の善玉菌を増やして悪玉菌を抑制するバクテリアセラピーを導入する歯科医院も増えています。
広島大学歯学部の研究では、乳酸菌の一種である“ロイテリ菌”を投与することで虫歯菌や歯周病菌が抑制されたことが報告されています。
口腔内に存在する悪玉菌は、食べかすを分解して硫化水素など揮発性硫化物を発生させます。硫化水素は、「卵が腐ったような」と形容されるほどの臭いで、口臭の原因です。
口臭を抑えるためには、悪玉菌のエサとなる食べかすを歯磨きによって除去するのと同時に、悪玉菌を抑制することが重要です。
バクテリアセラピーで使用されるロイテリ菌は、悪玉菌を減らす働きがあり、気になる臭いをカバーできる可能性があります。
口臭を数値化した調査では、ロイテリ菌の使用によって口臭スコアがゼロになった患者が4.5倍以上に増えたと報告されています。
腸は飲食物と一緒に外から侵入した病原体にも接するため、身体全体の免疫機能が60%も集中しています。腸内細菌は、腸管に存在する免疫細胞にも働きかけて、免疫機能のバランスを保つ作用があります。
善玉菌を増やすことで、花粉症やアトピー性皮膚炎などのアレルギー症状を抑える働きがあると考えられるようになりました。
実際に、アトピー性皮膚炎の乳児50名に12カ月間ロイテリ菌を投与した調査では、湿疹面積が57%も減少したことが確認されました。
ピロリ菌は、胃の粘膜に住み着き、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍、胃がんなどの原因になる菌です。胃がんの8割はピロリ菌が原因とされているため、予防のためにも除菌することが重要です。
バクテリアセラピーにも、ピロリ菌を抑制する働きがあります。30日間、ロイテリ菌を投与した調査では、胃炎の症状が軽減して、約60%の患者がピロリ菌を抑制したと報告されています。
抗生物質の発明によって多くの感染症が治療できるようになりましたが、悪玉菌に限らず、善玉菌も殺菌することから、下痢などの副作用のリスクも存在します。
バクテリアセラピーは、抗生剤の副作用に悩まされている方や、抗生剤の使用を避けたい乳児、妊婦の感染症治療のために開発された経緯があります。日本の病院で採用されている標準的な治療の妨げにもならないため、妊婦や乳児、高齢者など幅広い年齢の方におすすめできます。
バクテリアセラピーは、ヒト由来の善玉菌を摂取することで悪玉菌を抑制することから、副作用のリスクが低いのが特徴です。一方、注意点も存在するため、メリットとデメリットを考慮して使用することが大切です。
バクテリアセラピーは、就寝前に善玉菌のサプリメントを服用するだけという手軽さも特徴の一つです。毎日継続することで、善玉菌が体内に定着するようになります。
ヒト由来の善玉菌を使用するため、副作用のリスクも少なく、医薬品とも併用が可能です。通常の歯科治療に加えてバクテリアセラピーを行うことで、口腔トラブルを抑える働きが期待できます。
バクテリアセラピーに利用されるロイテリ菌は、母乳に存在する乳酸菌の一種です。一般的な乳酸菌とは異なり、悪玉菌のみを攻撃して、ほかの善玉菌を攻撃しない特徴があります。また、“ロイテリン”という抗生物質を分泌する唯一の乳酸菌であり、体内の悪玉菌を抑制します。
ヒト由来の善玉菌であっても、生活習慣や食生活に問題がある場合、体内に定着しにくいことがあります。3週間連続摂取しても、サプリメントの服用を中止すれば、2カ月で菌のバランスが元に戻ってしまうという報告もあります。善玉菌の働きを最大限引き出すためには、継続することが重要です。
また、口腔内の環境を良好に保つために、食後の歯磨き後にサプリメントを服用することが推奨されています。歯磨きやマウスウォッシュをして悪玉菌を減らしてから善玉菌を補充することで、善玉菌を増やすことが期待できます。
病院での標準的な治療を受けている場合、乳酸菌由来の整腸剤などとの重複を避けるために、医師や薬剤師にもバクテリアセラピーを受けていることを相談することが望ましいです。
当社では、オリジナルのロイテリ菌サプリメントを販売しています。お口のトラブルが気になる方に向けた製品で、歯磨きや歯科治療に加えてサプリメントを試してみたい方におすすめです。
そのほかにも、お腹の健康が気になる方に向けたロイテリ菌サプリメントや、リキッドタイプなど、各種製品を当社オンラインストアで購入いただけます。
バクテリアセラピーは、体内の細菌バランスを整えて、さまざまな健康トラブルを抑える細菌療法です。虫歯や歯周病の原因菌を抑制することから既存の歯科治療と併用することで、予防効果も期待できます。
ヒト由来の乳酸菌であるロイテリ菌は副作用のリスクが少なく、子どもから高齢者、妊婦にも使用できます。
善玉菌は外から補充しても体外へ排出されるため、継続的に補充することが大切です。当社でもロイテリ菌サプリメントを取り扱っていますので、ご興味があればオンラインストアでご購入ください。
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